事故物件について

告知事項ってなに?裁判所の見解は…

事故物件とは
2020年06月23日

告知事項てなに?判例では?


 告知事項とは 
物件に瑕疵(契約不適合)がある場合、
取引する際に借り手や買主に
瑕疵(契約不適合)の内容を告げること。
※瑕疵(契約不適合)とは、
「傷」のことであり、
欠点・不足という意味があります。

告知事項は、借り手や買主が
取引をする際の重要な判断材料となります。
説明を怠ると、契約解除や損害賠償が
発生する場合があります。
このようなトラブルにならないためにも、
売主は借り手・買主に、
しっかりと説明しなければならないのです。

そして不動産取引で用いられる、
物件の瑕疵(契約不適合)
には4つの種類があります。


物理的瑕疵(契約不適合)
物理的瑕疵とは、
建物の物理的な損傷や
欠陥のある瑕疵(契約不適合)のことです。

(例)
●地盤沈下
●雨漏り
●白アリ
●アスベスト
etc...


②心理的瑕疵(契約不適合)
心理的瑕疵(契約不適合)とは、
過去に殺人事件や自殺・事故など、
取引する際に借り手や買主が、
心理的に嫌悪感を抱く瑕疵のことです。

(例)
●3年前にお風呂場で自殺
●1年前に火災事故で亡くなられた方がいる
●5年前に新聞に載ってしまった殺人事件があった
etc...

しかし、心理的瑕疵(契約不適合)物件に抱く
イメージは人それぞれです。
心理的瑕疵(契約不適合)となる
ボーダーラインもはっきりとは決まっていません。
そのため、曖昧な部分が多いのが事実です。
しかし、必ず告知事項を説明しなければなりません。


③環境的瑕疵(契約不適合)
環境的瑕疵とは、
物件周辺の環境的
瑕疵(契約不適合)のことです。

(例)
●騒音被害
●近くにゴミ処理場がある
●火葬場がある
etc...

こちらも心理的瑕疵(契約不適合)と同じように、
環境的瑕疵(契約不適合)への
感じ方は人それぞれです。
しかし、こちらも必ず告知事項を
説明しなければなりません。


④法的瑕疵(契約不適合)
法的瑕疵(契約不適合)とは、
法令によって制限されてしまう
瑕疵(契約不適合)のことです。
例を挙げるとわかりやすいです。

(例)
●市街化調整区域内にある
●接道義務を果たしていない
●建蔽容積率オーバーしている(違法建築物)
etc...

法的瑕疵(契約不適合)は
売買には関わりますが
賃貸には関わりません。
そして注意が必要なのは
住宅ローンの利用が難しいことです。
これは、建て替えができない、
将来性がないなどの理由によるものです。
そのため、購入される際は慎重に
検討した方がよさそうです。


以上の4つが主な瑕疵(契約不適合)になります。
次は、実際に起きた事例をもとに
詳しく解説していきたいと思います。


 事例 
売主Bが約7年前の強盗殺人事件を
買主に説明しなかった。
よって買主Aから売主Bへ
損害賠償請求がなされた。

◎内容
平成25年12月 買主Aは建物の取り壊し後、
転売目的で売主Bから本件不動産①
2275万円で買い取った。

平成26年7月 加えて、買主Aは売主Bから、
本件不動産①に隣接する不動産②を、
3300万円で購入する売買契約を締結。

平成26年8月 本件不動産①
不動産②を合わせて決算し、引き渡しを行った。

ここで問題が。

本契約前
買主Aは「本件不動産において、
事件・事故等はなかったか」と
売主Bに質問したところ、
売主Bは「何もない」と答えた。

しかし、

決済の二日後
買主Aは、近隣の方により
約8年前に本件不動産①で、
売主Bの親族が強盗殺人事件の
被害者となった殺人事件があった

という話を聞き、
新聞記事などでそのことを確認した。

平成26年9月 買主Aは売主Bと面談をし、
本件不動産①の売買代金との間に
2500万円の差額があるとして、
代金の返還を求めた。
しかしその後、
売主Bは「弁護士と相談をする」と
言ったきり連絡がとれなくなった。

買主Aは裁判所に、
●本件不動産①の適正評価額と
本件不動産①の売買代金との差額 2500万円
●慰謝料 500万円
●弁護士費用 300万円
3300万円の賠償を売主Bに求め、提訴した。

訴状を受けとった売主Bは、
弁護士をたてず本人が対応し、
「事件・事故について買主Aに
尋ねられたことはない。
事件や事故が起きた不動産の価格が
安くなることは知らなかった。」
と主張した。

判決の結果
裁判所は売主Bの
告知義務違反・欺罔行為について、
買主Bが売主Aに対して、
本件不動産①において事件・事故が
発生したかの有無を確認したのにも関わらず、
売主Bは「何もなかった」と返答した。
そのため、本件売買契約において
‘‘物件状況確認書‘‘の作成手続きを
行わなかったことがわかった。
よって、「買主Aに尋ねられたことはない」
という売主Bの主張は採用できない。
(以下省略)

などの要因があり、
売主Bは、買主Aに対して損害賠償代金を支払った。

参照:神戸地判 平28.7.29 ウエストロー・ジャパン 

◎ポイント
この判例は心理的瑕疵
(契約不適合)物件になります。
売主Bの過失は、
事件のことを知っていたのにも関わらず、
買主に告げなかったことです。
告知事項になるということを知らなかったとしても、
売主Bの過失になります。

 まとめ 
瑕疵(契約不適合)とは、
‘‘通常備えていなければならない品質・性能を欠いて状態‘‘を言います。
そのため、契約の目的によっては瑕疵として扱われない場合もあり、
判断が大変難しいのです。
そして、告知事項がありながらも借り手や買主に説明しなかった場合、
トラブルになるケースがあります。
もし、ご不明点や疑問点があり、不安に思うようなことがありましたら、
事故物件いろはへご相談ください。