事故物件について

耐震トラブル 『地震のリスク』

売却方法について
2020年12月15日

耐震トラブル 『地震のリスク』

日本は地震大国です。

その為、物件を購入する際は地震に対する建物の安全性が重要視されます。

建物を建てる際の設計基準も「建築基準法」によって厳しく定められており、
大きな震災を経験するごとに改正されてきました。

 

昨今、地震に対して非常に関心が高まっています。

それ故、耐震に関するトラブルも少なくはありません。

今回は、実際に起こった耐震トラブルの判例を元に

「トラブルにならないための対策」をお話していきたいと思います。

 










【判例】

耐震強度が不足しているマンションの設計を行った設計者と、
建築確認済証を交付した指定確認検査機関に対する損害賠償請求が認められた判例。

 

分譲マンションの売主Aさん(売買契約)購入者ら

 

(①設計監理業務全般の発注)

 

         設計事務所Kの設計者Bさん         

 

(②構造検査の発注)       (③確認申請)

                

構造計算事務所Mの従業員Cさん 指定確認検査機関Yの従業員Dさん

 

 

①分譲マンションの売主Aさんは、設計などの監理業務先般を設計事務所Kの設計者Bさんに依頼しました。

 

②設計者Bは、監理業務の中の「構造検査」を構造計算事務所Mの従業員Cさんへ発注しました。

従業員Cさんは、構造計算プログラムを用いて構造計算を行い、書類を設計者Bさんへ提供しましたが、その内容は誤ったものでした。

 

③設計者Bは、監理業務の中の「確認申請」を指定確認機関Yの従業員Dさんへ申請をしました。しかし、確認申請に出した書類の内容は、構造計算事務所Mの従業員Cさんが提供した誤った部分を含むものでした。

 

④指定確認機関Yの従業員Dさんは、構造計算上、安全率が基準を満たしていないことを発見しました。従業員Dさんは、構造計算事務所Mの従業員Cさんへ構造計算の誤りについて指摘をし、改良を求めました。

 

⑤指摘を受けた、構造計算事務所Mの従業員Cさんは、手書きで設計変更を行いました。

しかし、この判断は誤りで安全率は基準値を満たさず、必要な強度は確保されませんでした。

 

⑥指定確認機関Yの従業員Dさんは、構造計算事務所Mの従業員Cさんが改良した手書きの修正の部分の誤りを確認せず、「建築確認済証」を設計者Bさんへ交付しました。

 

判決は、

①建築確認の審査を行う義務がある指定確認機関Yの従業員Dさんは、構造計算事務所Mの従業員Cさんが手書きで修正した部分が適正なものであるか確認しないまま「建築確認済証」を交付した為、義務を怠った過失があります。

そして、指定確認機関Yは、分譲マンション購入者らへ生じた損害を賠償する義務があります。

 

②構造計算事務所Mの代表者は、設計業務全体について責任を持つべき立場であるとして、構造設計において誤った計算がなされないように注意する義務があります。

 

③設計事務所Kの設計者Bは、耐震強度不足を引き起こしたものとして、分譲マンション購入者らに対して損害賠償責任を負います。

そして、設計事務所Kも分譲マンション購入者らに対して損害賠償責任を負います。

 

以上が、大まかな内容になります。

 

【トラブル対策】

確認作業

上記のケースですと、建設事務所が依頼と申請をした事務所と機関に過失があります。

それぞれが必要な確認を怠ったことで、誤った「建築確認済証」が交付されてしまいました。それにより依頼と申請をした建設事務所にまで損害賠償の請求が及んでいます。

初歩的なことですが、‘‘確認作業‘‘を怠らない、小さなことでも確認をしておくだけでトラブルの防止になります。

瑕疵担保責任の廃止

2020年4月1日より「瑕疵担保責任」という制度が廃止になりました。

「瑕疵担保責任」とは、何かしらの瑕疵(欠陥)がある場合には、原則として売主が責任をとると定められていました。

しかし新しくできた制度の内容は、引渡された物件に瑕疵が存在していた場合、その瑕疵が隠れたる瑕疵か否かに関わらず、種類・品質などの契約内容に適合しないものであるときは、売主は契約不適合責任を負う。という内容のものです。

逆に考えてみれば契約内容に書かれていないものは、売主は責任を問われない。という解釈でも受け取れます。

この制度のことを、「不適合責任」と言います。

 

新耐震と旧耐震

「旧耐震」とは、震度5程度の地震では倒壊しない程度の耐震力があり1981年6月1日以前に許可が下りたものです。

「新耐震」とは、"建築物の存続期間中に数度遭遇すべき稀に発生する地震動に対してほとんど損傷がしょうずるおそれのないこと。"と国土交通省のHPに書かれている通り、旧耐震よりも強度が強い1981年6月以降に申請がおりたものです。

 

この「新耐震」と「旧耐震」は、現在混合して存在しています。

例を挙げると1982年7月築となっていても、新耐震基準の場合もあれば、旧耐震基準の場合もあります。建築時期で判断を行うのは大変危険です。

その為、契約する際は、しっかりと「新耐震」か「旧耐震」なのかを確認しましょう。

 

売主が注意するべきこと

これは、売主側が気を付けるべきことです。

耐震強度が不足していた場合、それは不動産の欠陥となり、「瑕疵」です。

「新耐震」と「旧耐震」の場合も同様です。

制度の改正により、耐震強度の瑕疵について表記がされておらず、耐震強度が不足している事実が判明すれば、契約内容と適合しないものとなり(「不適合責任)、売主が責任を負うことになります。

そうならない為にも、事実確認は自分の目でも確認することが大切です。

 

【まとめ】

日本は、地震大国です。それ故、耐震強度に需要があります。

売却する際にも、購入する際にも、相互の契約内容の確認がトラブルを起こさない為の重要な工程になります。

 

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